研削加工は、金型製作の仕上げ工程として欠かせない加工方法です。特に高精度な寸法・平面・表面粗さが求められる部位には、切削よりも研削が適しています。
研削加工とは?
砥石を用いて金属表面を微細に削ることで、寸法精度や表面品質を高める加工方法です。切削では実現できないミクロン単位の精度や、滑らかな表面が必要な部位に使われます。
金型で使われる主な研削加工の種類
加工方法 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
平面研削 | 精密な平面を作る | パーティング面、ベースプレート |
成形研削 | 特殊な砥石形状で輪郭加工 | キャビティのエッジ部、R形状部 |
円筒研削 | 円形部品を高精度に加工 | エジェクターガイドピン、ガイドピン |
センタレス研削 | 丸物をセンターなしで加工 | ピンやシャフト類の量産向き |
工具研削 | 工具の再研磨や成形加工 | エンドミルやパンチなど |
研削加工の目的と適用例
目的 | 対象部位 | 加工理由 |
---|---|---|
寸法精度の確保 | パーティング面、スライド部 | 高精度嵌合のため |
表面粗さの向上 | 成形品接触部、鏡面仕上げ前工程 | 光沢や離型性の向上 |
平行度・直角度の確保 | プレート間、スライドガイド部 | 組立精度・動作安定性 |
バリ・歪み除去 | 切削後の端面など | 成形トラブル防止 |
加工条件と注意点
(1)ワーク材質に応じた砥石選定
- 硬度の高い鋼材(SKD61, STAVAXなど)には、CBN砥石やWA砥石を使用。
- 軟鋼や焼き入れ前の素材には、一般的なA砥石が適用可能。
(2)加工時の冷却管理
- 過熱による焼き戻し(硬度低下)や割れを防ぐため、冷却液(クーラント)を常時供給。
- ドライ加工は避け、必ず湿式研削を行う。
(3)歪み・残留応力への配慮
- 無理な食いつきは避け、多段階での軽研削が基本。
- 片側からのみ削ると反りが出るため、両面交互加工が推奨される。
精度管理と検査
測定機器 | 測定内容 |
---|---|
ダイヤルゲージ | 平行度・段差測定 |
マイクロメーター | 厚み、ピン径などの精密測定 |
サーフテスト(表面粗さ計) | RaやRzなどの表面粗さ評価 |
三次元測定機 | 形状全体の公差確認 |
研削加工後の後処理
- バリ取り:エッジや角部のバリ除去(バフやストーンを使用)
- 防錆処理:水溶性クーラントの影響で錆びやすいため、研削後に油膜コートが重要
- 洗浄:切粉や砥粒を除去し、組立時の異物混入を防ぐ
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | 寸法・形状精度向上、表面品質改善 |
主な加工 | 平面研削、成形研削、円筒研削 |
使用工具 | 各種砥石(WA、CBN、GCなど) |
注意点 | 加熱防止、歪み制御、冷管理理 |
応用 | パーティング面、ピン、ガイド、嵌合部など |
コメント