シルバーは製品の表面に銀色または金色のすじ状の模様が発生する現象です。主な発生原因は、成形材料に含まれる空気やガスが製品表面に現れてしまうことです。
以下に、シルバーの主な発生原因と対策についてまとめます。
シルバーの外観と特徴
シルバー(銀条)とは、射出成形品の表面に現れる銀白色の線状・筋状の模様です。表面に現れるため見た目に直結し、外観品質を損なう不良として分類されます。
特徴:
- 表面に細かい筋(ストリーク)がランダムに出る
- 光の角度によって目立つ
- 同一製品でも発生位置が不定
- 素材・湿度・射出速度で変化
シルバーの発生原因を分類して考える
シルバーの発生原因は大きく分けて以下の3点に分類されます。
成形条件の問題
- 高射出速度:樹脂とガスが高速で流れ、表面にストリークが形成される
- 過度なスクリュー回転・背圧:材料が分解しやすくなり、揮発ガスの発生が増える
金型構造の問題
- ガス抜け不良:金型内の空気が排出できず、表面に筋が出る
成形材料の問題
- 材料の乾燥不足:吸湿性樹脂の水分が気化し、ガスとなって表面に吹き出す(特に、ナイロン(PA)、PBT、PCなどの吸湿性が高い樹脂は要注意です。)
具体的な対策と改善手順
シルバーの具体的な対策は大きく分けて以下の3点に分類されます。
成形条件の対策
- 射出速度:やや低速化して気泡の分裂を抑える
- スクリュー回転数:過剰な摩擦・発熱を避ける
- 背圧:適正化し、分解を防止
- 保圧:適正に設定してガス逃げを促進
金型構造の対策
- エアベントの清掃・追加
- ガス抜け経路(溝・排気穴)の設計改善
- ガス排出補助機(真空引き)を導入
成形材料の対策
- 乾燥温度と時間を最適化:例えば、PAなどは80℃以上で8時間以上が基本
- 乾燥機に除湿機能を追加:吸湿性樹脂にはデシカント式が有効
- リサイクル材の使用比率を抑える
現場で効果があった対策例
シルバー不良は、単なる外観トラブルではありません。それは「素材が乾いていません!」という現場へのメッセージとも言えるのです。
現場では「乾燥はしてるつもり」「設定は変えていない」と思っていても、実際には乾燥機のフィルターの目詰まりや、ホッパー内部の風通し不良が起きていることもあります。
外観不良という結果から、工程の“盲点”を探るヒントとして捉える姿勢が大切です。
まとめ
シルバーは製品の信頼性だけでなく、ブランド価値にも影響します。ぜひ、見た目を整える=工程の健全性を保つという視点で、シルバー対策に取り組んでみてください。
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