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プラスチック材料の流動性

アイキャッチ画像 成形材料
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射出成形を成功させるためには、使用する材料が流れやすいことが望まれます。しかし、プラスチック材料の流動性は加熱温度だけでなく、加えられる圧力によっても変化します。さらに、温度や圧力による流動性の変化の特性は、樹脂の種類によって大きく異なります。

プラスチック材料の流動性を表す方法として、一般的に次のような手法が採用されます。

メルトインデックス(MI値)による方法

メルトインデックス(MI)とは、熱可塑性樹脂の流動性を評価するための指標であり、「メルトフローレート(MFR)」とも呼ばれます。具体的には、**特定の条件下(温度・荷重)で10分間に押し出される樹脂の重量(g)**を測定したものです。

メルトインデックスの測定方法

メルトインデックスは、国際規格 ISO 1133ASTM D1238 に基づいて測定されます。一般的な測定条件は以下の通りです。

  • 試験装置 :メルトインデクサー(押し出し試験機)を使用
  • 試験温度 :材料によって異なる(例:ポリプロピレンは230℃、ポリエチレンは190℃など)
  • 荷重 :通常は2.16kgまたは5kg
  • 測定方法 :一定の温度と荷重のもとで、ノズルから押し出される樹脂の重量を10分間測定

メルトインデックスの意味と特性

MIが高い(値が大きい)

  • 樹脂の流動性が高い(低粘度)
  • 成形時の流れが良く、薄肉成形や複雑形状に適する
  • ただし、強度や耐衝撃性が低下しやすい

MIが低い(値が小さい)

  • 樹脂の粘度が高く、流動性が低い
  • 強度や耐衝撃性が高いが、成形時に流れにくいため、高圧が必要

メルトインデックスの用途と重要性

  • 射出成形や押出成形において、材料選定の目安 となる
  • 流動性の管理 により、成形不良(ショートショット、バリなど)を防ぐ
  • 同じ種類の樹脂でもグレードによる違い を判別できる

メルトインデックス(MI)は、樹脂の流動性を数値化する重要な指標であり、成形加工の適性を判断する基準となります。樹脂の種類や用途に応じて適切なMIを選定することで、成形品質の向上や生産性の最適化が可能になります。

流動比(L/t)による方法

流動比(Flow Ratio) は、プラスチック材料の流動性を評価するもう一つの方法で、メルトインデックス(MI)とは異なり、射出成形の実際の成形条件に近い状態で測定されるのが特徴です。

流動比の測定方法

流動比は、スパイラルフロー試験(Spiral Flow Test)と呼ばれる方法で測定されます。この試験では、一定の温度・圧力のもとで、樹脂がどれだけ長く流れるか を測定します。

測定方法

  • スパイラル状の金型 を用意
  • 一定の温度と圧力で樹脂を射出
  • 樹脂が金型内をどれだけ流れたか(長さ)を測定
  • 結果を数値化 し、材料の流動性を比較

流動比の計算

流動比は、一般的に試験片の長さと厚みの比率 で表されます。

流動比の意味と特性

流動比が大きい(値が高い)

  • 樹脂の流動性が高い(低粘度)
  • 複雑な形状や薄肉成形に適する
  • ただし、強度が低下する可能性がある

流動比が小さい(値が低い)

  • 樹脂の粘度が高く、流れにくい
  • 強度や耐衝撃性が高い
  • しかし、成形時には高い射出圧力が必要

流動比の用途と重要性

  • 実際の成形環境に近い測定が可能(MIより実用的)
  • 薄肉成形・複雑形状の成形性評価 に役立つ
  • 成形条件の最適化(流動性の確認による圧力や温度の調整)
  • 異なる材料の比較(同じ厚みでどれだけ流れるか)

流動比は、樹脂の流動性を実際の成形条件に近い形で評価できる指標 であり、薄肉成形や複雑形状の成形性を判断するのに役立ちます。メルトインデックス(MI)と組み合わせて使用することで、より適切な材料選定や成形条件の最適化が可能となります。

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