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プラスチック材料の流動配向

アイキャッチ画像 成形材料
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充填材の流動配向

近年、ガラス繊維などを充填した熱可塑性樹脂の使用が増えています。これらの強化プラスチックが溶融状態でランナーやゲートを通過すると、充填材は流れの方向に沿って配列しやすくなります。この現象を充填材の流動配向と呼びます。

充填材の流動配向は、ランナーやゲート部分だけでなく、キャビティ内を流れる際にも発生します。特に、製品の肉厚が薄い部分ではその影響が顕著になります。また、充填されている繊維の長さが長いほど、この現象はさらに強く現れます。

このような充填材の流動配向が起こると、製品の収縮率が流れ方向と直角方向で異なり、反りや変形の原因となることがあります。

樹脂の流動配向(分子配向)

一般的に、プラスチックは多数の分子が長い鎖状につながった構造を持ち、いわゆる線状高分子に分類されます。通常、この線状高分子は糸くずのように互いに絡み合った状態になっています。しかし、加熱によって溶融すると、この絡み合いがほどけ、流動しやすい状態へと変化します。

このような状態の材料に圧力を加え、狭い通路を流動させると、細長い線状高分子が流れの方向に沿って配列されます。この現象は、樹脂を構成する高分子が流動によって配向するため、分子配向と呼ばれます。

分子配向によって成形収縮率に異方性が生じるため、製品の反りや変形の原因となります。分子配向の度合いはプラスチックの種類によって大きく異なりますが、一般的に結晶性プラスチックは分子配向が顕著に現れます。

充填材の流動配向や樹脂の分子配向は、成形条件や製品の形状によって大きく異なります。しかし、いずれの場合もゲートの位置や形状が大きく影響するため、ランナーシステムを設計する際には、材料の流動配向を考慮した対策をあらかじめ検討することが重要です。

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