射出成形では「どれだけ速く樹脂を金型に充填するか」が、製品の外観・寸法・内部品質に直結します。この速度は単なる早さだけでなく、適切な単位と制御方法の理解が不可欠です。
射出速度とは?
- 溶融樹脂がノズルから金型キャビティ内に充填されるスピード
- 通常、mm/s または cm³/sで表される
単位の違い
- mm/s → スクリューの前進速度
- cm³/s → 樹脂体積の充填速度(体積流量)
なぜ射出速度が重要か?
速度 | 製品への影響例 |
---|---|
速すぎる | バリ、ガス焼け、型破損 |
遅すぎる | ヒケ、ショートショット、ウエルドライン強調 |
適正な速度は、成形品形状、ゲートタイプ、材料種類などで異なります。
実務における射出速度の設定方法
- 試作段階では中速(例:30~60 mm/s)からスタート
- 充填パターンをモニター(圧力波形、フローフロント)
- 最適化では流動解析(CAE)と連携
スクリュー速度との関係
スクリューの移動速度(mm/s)と、樹脂の体積流量(cm³/s)は以下で換算: 体積流量(cm³/s)= スクリュー断面積 × 速度(mm/s)
射出速度制御の種類
- 単一段速度制御:簡単だが調整幅が狭い
- 多段速度制御:複数ゾーンで速度を調整(一般的)
- サーボ制御:精密成形に有効
まとめ
- 射出速度はmm/sかcm³/sで表現され、製品の外観・強度・歩留まりに大きく影響
- 材料特性や製品設計に応じて最適速度を探ることが不可欠
- 成形品質の安定には、速度制御 × 圧力制御 × 温度制御の三位一体が鍵
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