近年、3Dプリンターの技術が進化し、射出成形金型の設計や製作においても活用されるようになっています。以下、主な活用方法を紹介します。
試作金型の製作
従来、試作金型は金属を切削加工して作られていましたが、3Dプリンターを活用することで短期間で試作が可能になります。
メリット
- 試作時間の短縮(従来の加工では数週間→3Dプリンターなら数日)
- コスト削減(樹脂や一部の金属材料を使用し、金型製作費用を低減)
- 設計変更が容易(CADデータを修正すればすぐに再出力可能)
活用技術
- 樹脂3Dプリンター(FDM, SLA, MJFなど)
- 金属3Dプリンター(SLM, DMLSなど)
インサート金型の製作
射出成形用の金型全体を3Dプリンターで作るのではなく、部分的なインサート(可動部や冷却部品)として利用する方法もあります。
例
- 3Dプリント金属インサート:金属3Dプリンターを用いて、複雑な水冷回路を内部に設計可能(コンフォーマル・クーリング)
- 3Dプリント樹脂インサート:低圧射出成形や試作品成形に利用
金型冷却回路(コンフォーマル・クーリング)の最適化
金属3Dプリンターを活用すると、従来の機械加工では作れない複雑な冷却回路を作成できます。
メリット
- 冷却時間の短縮(従来より均一な冷却が可能)
- 成形品の反りや変形を低減(温度ムラが少なくなる)
- サイクルタイムの短縮(生産効率向上)
成形品の試作とデザイン検証
金型設計の前段階で、3Dプリンターを使って成形品の試作品を作ることで、設計の問題を事前に発見できます。
活用例
- 樹脂3Dプリンターでデザイン検証(FDM, SLA)
- 高精度の試作(MJF, DLP)
- 実機テスト前のフィット確認
補助治具・アタッチメントの作成
金型メンテナンス用の治具や、成形品の取り出し補助治具を3Dプリンターで作成できます。
例
- 金型の組み立て・分解用の専用工具
- 射出成形後のトリミングや穴あけ用の治具
- 生産ラインでのアライメント補助ツール
最終金型としての利用(低圧成形)
一部の特殊用途では、耐熱性のある3Dプリント樹脂や金属を用いた最終金型の製作も可能です。
活用例
- 低圧射出成形(ウレタンやシリコーンゴムの成形)
- 短寿命の金型(小ロット・カスタム成形)
まとめ
3Dプリンターを活用することで、金型設計・製作の効率が大幅に向上します。特に、試作金型やコンフォーマル・クーリングの設計、治具製作などに有効です。今後さらに進化することで、射出成形のプロセスが大きく変わる可能性があります。
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